この記事はこのような方に向けて書いています↓
一級建築士試験を独学しようとしているけど勉強方法が分からない
そもそも何を勉強するの?
過去問だけ勉強すれば合格できると聞いたけど本当?
一級建築士の学科の勉強スケジュールやおすすめテキストを知りたい
この記事の筆者は、2020年の学科試験で105点(125点満点)を獲得し、合格しています。合格点は88点でしたので、17点の余裕をもって合格しています。
学習期間は1年程度。
初年度の製図試験は不合格。2021年に2回目の製図試験で合格しました。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
【前提】一級建築士合格のために、学科の独学は可能だが、製図の独学は無理
学科の独学は可能
一級建築士の学科の独学は可能です。
以下の素質が当てはまる人は、最初はお金の節約のために一級建築士の学科試験に独学で挑戦してみるのもおすすめです。
詳細はこちらの記事を参考にしてください。
製図の独学は無理
製図の独学はお勧めしません。
一番大きな理由は、独学では、経験できるミスに限りがあり、そもそもミスに気づけないことが多いという点です。
添削をしてもらうことができないのは致命的に不利です。
よほどお金に余裕がないなどの事情がないのであれば、資格学校か通信講座を利用しましょう。
詳細はこの記事を読んでみてください。
本当に過去問だけ勉強すれば合格できるのか
過去問を中心に勉強すれば合格できます。過去問演習が一番重要。
一級建築士の学科試験で合格するためには、過去問を何周も解くことが重要です。
一級建築士試験の学科の問題は、ほとんどが過去問に登場した選択肢(言い回しを変えているものもある)で構成されています。
そのため、過去問を何周も解いて過去問で出題された選択肢についての知識を理解し、覚えることができれば合格することができます。
この時注意すべき点ですが、1級建築士試験は4肢択一式(4つの選択肢の中から1つの正解を選ぶ)の試験ですが、過去問演習の時は、ただ正解を探すのではなく、1つ1つの選択肢について、正しいか誤っているか判断するときの根拠を言えるようにするのが重要です。
誤っている選択肢は、誤っている部分を修正して正しいものを作れるようになっておく必要があります。
テキストの活用法①:過去問演習で正誤判断に迷った選択肢の背景知識を調べる
過去問演習の中で正しいのか誤っているか迷う選択肢があったら、その選択肢に印をつけて置き、答え合わせが終わった後に、テキストでその選択肢に関する項目が書いてあるページを確認します。
このとき、迷った選択肢に関係する部分だけをテキストで確認して覚えるのではなく、その近くに書いてある関連知識も一緒にインプットしていきます。
そうすることで、自分の中の1つ1つの知識が結びついて、より忘れにくくなっていきますし、本試験で言い回しが変わって同じような問題が出たときに対応しやすくなります。
テキストの活用法②:試験勉強を始めるときの導入として利用する
一級建築士の学科の試験対策は基本的に過去問演習の繰り返しですが、いきなり過去問を解こうとすると、8割型、全然解けなくて心が折れます。
そのため、最初はテキストに載っている問題を解いていって、ある程度の知識を身に着けてから過去問を解き始めるのがおすすめです。
市販のテキストには頻出問題や練習問題が載っていることがほとんどですので、テキストを勉強するときは、まず載っている問題を解いてみて、知識を確認してからもう一度問題を解いてみる等、なるべく問題演習を主体とした使い方をする方がおすすめです。
一級建築士試験学科の勉強内容と、必要な点数【各科目の足切り点と合格点】
一級建築士試験学科の出題内容
一級建築士になるためには、学科試験と設計製図試験をに合格しなければなりません。
学科試験は、四肢択一式(4つの選択肢の中から正解を選ぶ)のマークシート試験です。
学科試験は、5科目(Ⅰ計画、Ⅱ環境・設備、Ⅲ法規、Ⅳ構造、Ⅴ施工)の試験で、7月に開催されます。
学科試験の詳しい内容は以下の通りです。
Ⅰ計画 | 各用途(商業施設、住宅、集合住宅、病院、博物館・美術館、コミュニティ施設など)の知識、細部の寸法、建築作品、都市計画、積算など |
Ⅱ環境・設備 | 日照・日射、採光、通風、換気、空調、照明、給排水、エレベーター、消防設備、電気設備、熱、音響、色彩、省エネなど |
Ⅲ法規 | 建築基準法、建築士法、都市計画法、消防法、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」、その他関係法など |
Ⅳ構造 | 構造力学、荷重・外力、構造計算方法の種別、地盤・基礎、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、木造、材料、免振・制振など |
Ⅴ施工 | 工事体制、手続き、材料管理、仮設工事、土工事・山留工事、杭工事、鉄筋工事、型枠工事、コンクリート打設工事、鉄骨工事、木工事、防水工事、左官工事、タイル・石材、金属・ガラス、内装工事、設備工事、改修工事、工事請負契約など |
設計製図試験は、6時間半で1つの建物を設計し、図面と記述解答を作成するような試験で、10月に開催されます。
設計製図試験では、7月~8月にテーマとなる建築物の概要(建物用途など)が発表されますが、詳しい設計条件は試験当日になるまでわかりません。
合格最低点
合格最低点を表にまとめました。
学科Ⅰ(計画) | 学科Ⅱ(環境・設備) | 学科Ⅲ(法規) | 学科Ⅳ(構造) | 学科Ⅴ(施工) | 総得点 | |
例年の目安 | 11 | 11 | 16 | 16 | 13 | 90 |
令和3年の場合 | 10 | 11 | 16 | 16 | 13 | 87 |
令和元年の場合 | 11 | 11 | 16 | 16 | 13 | 97 |
満点 | 20 | 20 | 30 | 30 | 25 | 125 |
基本的な考え方として、学科試験に合格するためには、総得点が90点を超えており、かつ、各学科の点数が、表に記載されている点数を超えている必要があります。
注意すべき点は、総得点だけではなく各科目についても合格最低点があるという点です。
例年の目安の行で、総得点が90点となっていますが、例えば全科目の合計が90点だったとしても、学科Ⅰの点数が10点だった場合は学科Ⅰの合格最低点(11点)に達していないため不合格となります。
各科目について定められている合格最低点を足切り点と呼んだりします。
また、表からわかるように、令和3年は総得点と学科Ⅰの合格最低点が例年より低くなっていますし、令和元年は総得点の合格最低点が例年より高くなっています。
このように、受験者の出来が良かった年は合格最低点が高くなり、受験者の出来が悪かった年は合格最低点が低くなります。
また、試験本番は過去に出たことがないような問題が数問出るので、過去問演習よりも10点ほど点数が低くなると考えておくべきです。
そのため、模試や、過去問演習をするときは、合計点で110点(合格最低点の表から、余裕を見て100点+過去に出たことがない問題10点)くらいを目指すのが妥当と言えます。
一級建築士試験の難易度
一級建築士試験の難易度について、以下の記事で解説しています↓
一級建築士学科試験の具体的な勉強方法(基本は過去問演習)
テキストに収録されている問題を1周する
いきなり過去問を解こうとすると、全然解けなくてやる気をなくしてしまう可能性があるため、最初はテキストに載っている問題を解いていって、ある程度の知識を身に着けてから過去問を解き始めるのがおすすめです。
市販のテキストには頻出問題や練習問題が載っていることがほとんどですので、テキストを勉強するときは、まず載っている問題を解いてみて、知識を確認してからもう一度問題を解いてみるというやり方で解き進めていきます。
一級建築士学科試験の勉強は基本的に過去問で進めていった方が良いため、テキストの内容を完璧にしようとはせず、テキストを1周解き終わったら早い段階で過去問演習に移るのがおすすめです。
過去問を解き、知識をテキストで確認する
テキストを1周終えたら、過去問演習に移ります。
別記事でも解説していますが、一級建築士学科の勉強の順番は、「法規」「構造力学(構造の計算問題)」→「環境設備の環境分野」→「環境設備の設備分野」→「計画」「施工」「構造の文章題」とするのがおすすめです。
学科試験は四肢択一式の試験ですが、過去問演習をする際は、1つ1つの選択肢の〇×を判断していくような解き方をするのが勉強を効率よく勧めるコツです。
〇×を判断するときは、必ずその根拠を明確に説明できるかどうかを自問自答し、×の選択肢は誤っている部分を修正して正しいものを作れるようにします。
もし〇×を判断する根拠を明確に説明できない選択肢、正しくなるように修正できない選択肢があったら、その選択肢に印をつけて置き、答え合わせが終わった後に、テキストでその選択肢に関する項目が書いてあるページを確認します。
テキストを確認するときは、近くに書いてある関係する知識も一緒にインプットするようにすると、1つ1つの知識が結びついてより忘れにくくなります。
一級建築士試験では過去に出題された選択肢が(言い回しを変えるなどして)何度も出題されますが、その言い回しの変化に対応するためにも、過去問の選択肢の内容を覚えるだけでなく、その背景となる知識をテキストで確認してインプットする必要があります。
学科Ⅲ、Ⅳ、Ⅴについては勉強の仕方にそれぞれ特徴があると思ったので、後の章でコツを解説しますが、学科Ⅰ、学科Ⅱについては基本的にはこの章で説明した過去問演習のやり方で攻略できます。
また、時間を計りながら1回分の過去問を解いたりすると思いますが、その際は3年前~5年前の過去問は解かずに残しておくようにしましょう。3年前~5年前の過去問は、直前期の演習で使います。
過去問演習で間違えた問題は1週間後くらいにもう1度解く
過去問演習で不正解だった問題や、正しいか誤っているか判断に迷った選択肢は、答え合わせをして知識をインプットした後にもう1度解くべきですが、それだけでなく、1週間後くらいにももう1度解くことが超重要です。
1度間違えた問題は、答え合わせをして理解したつもりになっていても、1週間後に解くと高確率でまた間違えます。
一級建築士試験では過去問で出たことのある問題が多数出題されるので、同じ問題を何周も解くことで、知識を確実に身に着けていきましょう。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
学科Ⅲ(法規)の過去問演習のコツ
法規の過去問演習をするときは、時間がかかってもよいので基本的に法令集を見ながら過去問演習を行い、テキストは、法令集で法文の意味が理解できないときに利用するようなイメージで演習していきます。
法規で点数を取れるようになるコツを以下の記事で解説しています。↓
(詳細:【一級建築士】法規の最短攻略法(暗記は最低限に法文の場所を覚える))
ざっくり説明すると・・・
- 過去問演習で、問題を解くプロセスを身につけましょう
- 最低限の項目は、内容を覚えよう
- 代表的な法文の位置を覚えよう
- 法令集にマーキングしよう(線引きとは違う!)
- 同じ問題(特に、間違えた問題)を何度も解こう
これらの行動を同時並行でやっていきます。
学科Ⅳ(構造)の過去問演習のコツ
構造は、まずは計算問題を3周解いて完璧にします。
計算問題が完璧になるまで文章題は解きません。
なぜなら、計算問題が解けるようになれば、多くの文章題は計算問題での知識をもとにして解くことができるからです。
計算問題が完璧になった後に文章題に取り組みます。
計算問題はできるようになるまでに時間がかかるため、他の科目よりも早い時期から取り組む必要がありますが、文章題は、計算問題が解けるようになっていれば比較的早く攻略できるため、他の科目より遅い時期に勉強を始めても大丈夫です。
構造に苦手意識を抱いている人のために、構造の問題を解くときに役に立つ4つの考え方をまとめましたので、こちらも参考にしてください。↓
詳細:【一級建築士】構造力学の勉強法と超基本を解説(点数UPに直結)
学科Ⅴ(施工)の過去問演習のコツ
施工は、専門用語がたくさん出てくるので、知らない単語が出てくるたびにネットでの画像検索か、書籍「施工が分かるイラスト建築生産入門」で意味を調べ、問題文に書かれている内容を絵としてイメージできるようにする必要があります。
実は、筆者が試験勉強に一番苦労したのが施工です。
理由は、問題やテキストに出てくる用語が絵としてイメージできなかったからです。
「施工が分かるイラスト建築生産入門」を見るか、画像検索をすることで、かなり問題文の内容を理解しやすくなりますのでおススメです。
また、筆者が学科試験を受験したときは、このサイトもよく利用していました。↓
外部リンク:井澤式 建築士試験 比較暗記法 目次 (構造、施工)
とても参考になるのでおススメです。
苦手な科目ができたら
苦手な科目ができたら、まずはテキストに収録されている問題を全問正解できるようになるまで繰り返し解きます。
テキストには、頻出問題が厳選されて収録されているため、1科目分を完璧にするのにかかる時間は問題集よりも少なくて済み、間違えてはいけない基本的な知識を定着させることができます。
それができたら、問題集の、難易度が一番簡単な問題を全問正解できるようになるまで繰り返し解きます。
市販の多くの問題集では、難易度が3段階に分けられているため、苦手科目の場合は、3段階のうち一番簡単な難易度の問題を、全問正解できるまで繰り返し解きます。
テキストに収録されている問題と同様に、問題集の、難易度が一番簡単な問題は、よく出題される基本的な問題のため、これを完璧にするのが、点数を上げるための一番の近道です。
このときも、4つの選択肢の中から正解を探すような解き方ではなく、1つ1つの選択肢の〇×を判断していくような解き方をしましょう。
筆者はこの方法で、最初は苦手だった施工の点数を、合格レベルまで底上げすることができました。
資格学校の模擬試験を必ず受験する
以下の理由から、資格学校等が開催する模試は必ず利用しましょう。
資格学校の模試は、一般的に問題が本試験より難しめに作られているため、点数が悪くても落ち込まないようにしましょう。
間違えた問題(特に全受験生の正答率が50%を超えているもの)は、あなたの苦手分野ですので、必ず復習して苦手をつぶしましょう。
詳細:【一級建築士 独学】模試を受けよう!メリットと注意点を解説
直前期(5月~試験日)までの問題演習
直前期は、以下の問題を、全問正解できるようになるまで繰り返し演習しましょう。
- テキストに収録されている問題
- 問題集の、難易度が一番簡単な問題
- 3~5年前の過去問
これらの問題は、本試験で出題される可能性が高い選択肢を多く含んでいます。
すべての選択肢について、明確な根拠を持って〇か×かを判断できるようになるまで、繰り返し解き直しましょう。
独学におすすめの教材
独学におすすめの教材について、次の記事で解説していますので、参考にしてください。
詳細:【一級建築士の独学】おすすめテキスト・問題集(最低限必要なもの)
独学する際のスケジュール
独学する際のスケジュールは、以下の記事を参照してください。
詳細:【独学者必見】一級建築士合格へのスケジュール(モチベーションと時間の確保)
まとめ
本記事のまとめです
- 過去問を中心に勉強すれば合格可能
- ただ、過去問の選択肢がなぜ〇なのか、×なのかといった背景を理解するため、また、一級建築士の勉強を始めるときの導入としてテキストがあった方が便利
- 一級建築士学科試験は四肢択一式の試験だが、過去問演習をするときは、1つ1つの選択肢の〇×を判断して、〇×の判断の根拠を確認していくような勉強の仕方をする。
- 模試は必ず受験するべき
これからも一級建築士試験の勉強に役立つ情報を発信します。一緒に頑張りましょう。
コメント