【一級建築士 設計製図試験】エスキスを短時間で仕上げるコツ

一級建築士製図
Image by Jan Alexander from Pixabay

【PR】このサイトはプロモーションを含みます。

この記事はこのような方に向けて書いています↓

迷えるラクダ
迷えるラクダ

エスキスをまとめるのに時間がかかる...

迷えるリス
迷えるリス

エスキスが完成したと思っても、ミスがあってやり直しになることが多い!

本記事では…
  • 一級建築士試験の設計製図試験を解く上で必要となる、エスキスのポイントを説明します。
  • エスキスを早く終わらせるためのアイデアをお伝えします。

 この記事の筆者は、2020年の学科試験で105点(125点満点)を獲得し、合格しています。合格点は88点でしたので、17点の余裕をもって合格しています。

 学習期間は1年程度です。

 初年度の製図試験は不合格。2度目の製図試験で合格しました!

【注意】エスキスの手順について

 この記事はエスキスの手順を説明する記事ではなく、エスキスを短時間で終わらせるテクニックを解説する記事です。

 エスキスの手順は、資格学校や通信講座、参考書を利用して勉強し、身に着けてください。

 または、エスキスの手順について解説している良い記事を見つけましたので、こちらを参考にしてみてください↓

(外部リンク:100分で出来る簡単エスキス手順

 エスキスを早く終わらせるには、手順を体に染みつけることが一番大事です。

 資格学校や参考書で教えられている通りの手順で何度も問題を解き、エスキスの型を手に入れましょう。

(参考:一級建築士 設計製図試験に合格する人の、たった1つの特徴

 では、本編に入ります。

【超重要】エスキスをする際に必ずやるべきこと

  • 問題文のマーカー引きが終わったら、まず最初に(忘れないうちに)断面イメージ、各室の関係性を書き出す
  • 作れる最大の床面積を算出す
  • ゾーニングをする
  • 本格的なプランニング(1/400のプランニング)を始める前に必ず法令や室、屋外施設を忘れていないかどうかのチェックをしておく

問題文のマーカー引きが終わったら、まず最初に(忘れないうちに)断面イメージ、各室の関係性を書き出す

 課題文のマーカー引きが終わったら、記憶が新しいうちに、エスキス用紙の左上に、忘れてはいけない室同士の関係、室の位置の指定や、建物の断面イメージを図示しておきます。

 断面イメージには、複数の階に影響を及ぼす要素(吹き抜けや天井高が高い部屋、屋上庭園やトップライトなど)を表しておきます。

 解いているうちに室同士の関係などの重要な要素を忘れがちなので、エスキスを始めたら一番最初にこの作業を行うようにしてください。

図示しておくべき室同士の関係の例
  • 多目的ルームと屋外テラスは一体的に使えるようにする(多目的ルームと屋外テラスは隣り合う)
  • カフェの客席から敷地西側の湖を眺められるようにする(←カフェは湖側に配置)
  • 各住戸は日照に配慮する(住戸は北に配置できない)
↑断面イメージの例(屋上庭園と、天井高6m等の交流ホールが要求された場合)

作れる最大の床面積を算出する

 作れる最大の床面積を計算して、最大でどのくらいの大きさの建物を建てられるかを確認します。

 当然、建物の外形が大きいほどプランニングが簡単になるので、問題文に指定された床面積や建蔽率や道路・隣地・北側斜線がアウトにならず、駐車場や駐輪場や屋外テラスが入らなくならない範囲で、なるべく大きい外形となるように箱を設定します。

 外形は長方形等の、整形な形にします。

建物の大きさを決める要素
  • 敷地面積×建蔽率
  • 道路斜線・隣地斜線・北側斜線に抵触しないためのヘリ空きを確保し、駐車場や駐輪場やテラスを配置して残った部分に建てられる建物の面積
  • 問題文に記載されている床面積の指定

ゾーニングをする

 いきなり部屋を配置していくのではなく、まずはゾーニングを行います。

 例えば1つの階に共用部門、住宅部門、店舗部門があったとすると、部屋を配置する前に、1つのフロアをその3つの部門に分けます。(←ゾーニングと言います)

 1つの部門の必要な面積は、その部門に入る部屋の床面積の合計×1.4くらいが目安です。

 この時、エントランスから他の部門を通らずに、行きたい部門へ行けるようにする必要があります。

 例えば、エントランスから店舗部門を通らずに住宅部門へ行けるようにする必要がありますので、エントランスの属する部門を建物の真ん中あたりに配置したほうがプランニングが楽になります。

 1つのフロアを各部門に分けたら、位置の指定がある部屋や、複数の階に影響を及ぼす要素(屋上庭園、吹き抜け、天井高が高い室)も、仮に配置していきます。

  本格的なプランニング(1/400のプランニング)を始める前に、これらの作業が終わらせましょう。

本格的なプランニング(1/400のプランニング)を始める前には必ず法令や室、屋外施設を忘れていないかどうかのチェックをしておく

 1/400のエスキスを始める前に、後からでは修正しにくい事項を、先にチェックしておきます。

 1/400のエスキスが完成してからミスに気づいたら時間のロスが大きいので、始める前に必ずチェックをしましょう。

具体的には以下の通りです。

後から修正しにくい事項(法規)
  • 建蔽率
  • 容積率
  • 道路・隣地・北側斜線制限
  • 居室の採光に必要なヘリ空き
後から修正しにくい事項(複数の階や建物の外形に影響を及ぼす部屋等)
  • 駐車場、駐輪場、屋外テラスなどの屋外施設
  • EVや階段の数
  • 吹き抜けや天井高が高い部屋、トップライト等の立体要素
  • 柱の上下階の整合(1階に柱が無い位置には、その上の階でも柱を置けない=岡建て柱は×)

エスキスの時間を短縮するためのアイデア5つ

  • 建物の外形はなるべく大きくし、柱のスパンは柔軟に考える
  • 部屋より先に廊下を配置する
  • 全部の階を同時に検討する(階段やEV、吹き抜けや天井高の高い部屋等の、複数の階に影響を及ぼす要素は、
  • 大きい室や天井高が高い室、吹き抜けや屋上庭園等は邪魔にならない位置に配置する
  • 面積の大きい室や居室を先に配置し、面積の小さい非居室は後に配置する

建物の外形はなるべく大きくし、柱のスパンは柔軟に考える

 当然ですが、建物の外形をなるべく大きく設定したほうが、エスキスが簡単です。

  問題文に指定された床面積や建蔽率や道路・隣地・北側斜線がアウトにならず、駐車場や駐輪場や屋外テラスが入らなくならない範囲で、なるべく大きい外形となるように箱を設定しましょう。

 その際、柱のスパンを柔軟に考える必要があります。

 例えば、縦35m、横50mの敷地に、最大で縦は27mまで、横は44mまで、1つのフロアの床面積は1100㎡までの建物を設計できるとします。

 この時、縦は6mの4スパン、横は7mの6スパンで、 1つのフロアの床面積 1008㎡の建物を設計したくなるかもしれません。

 しかし、縦を 6mが3スパン+7mが1スパン(=25m)、横を7mが4スパン+8mが2スパン(=44m)を採用することで、1つのフロアの床面積をギリギリの値である1100㎡とすることもできます。

 実際には、建物の外形だけでなく基準階の計画等も考慮してスパンを決めることになりますが、スパンを柔軟に設定することを覚えておくと、自分がエスキスしやすいような建物外形を決めやすくなります。

部屋より先に廊下を配置する

 部屋より先に廊下を配置したほうが、エスキスが早くなります。

 エントランスや通用口、階段やエレベーターに通ずる廊下をまず計画し、その後に部屋を配置したほうが、部屋の配置を決めやすく、廊下も見通しが良い直線状のものになりやすいです。

全部の階を同時に検討する

 階段やEV、吹き抜けや天井高の高い部屋等は、複数の階に影響を及ぼす要素です。

 これらの要素は、全部の階で同時に検討します。

 例えば、1階で、階段の位置が決まったら、すぐに2階以上の階にも階段を記入します。

 これをすぐにやらないと、上下階の不整合が起きてしまったり、階段や吹き抜けがあるはずの位置に部屋や廊下を置いてしまったりしやすくなります。

大きい室や天井高が高い室、吹き抜けや屋上庭園等は邪魔にならない位置に配置する

 大きい室や天井高が高い室、吹き抜けや屋上庭園等は、邪魔にならない位置(なるべく端の方)に配置したほうが、他の部屋を配置しやすくなります。

 大きい部屋を建物の真ん中に配置してしまうと、廊下を通せる場所が少なくなってしまい、他の部屋の配置に苦労します。

  大きい室や天井高が高い室、吹き抜けや屋上庭園等を除いた部分が正方形や長方形等の良い感じの形になるように意識して、大きい室等を配置しましょう。

面積の大きい室や居室を先に配置し、面積の小さい非居室は後に配置する

 面積の大きい室を先に配置すれば、面積の小さい室は余ったスペースにねじ込むことができますが、その逆はできません。

 また、居室は窓が必要なため外壁に面した位置に配置したいですが、非居室はどこにおいても問題ありません。

 制約が大きい、面積が大きい室や居室を先に配置しましょう。

 居室であれば面積が小さくても優先して配置することをお勧めします。

 居室には窓が必要なため、外壁に面した位置に配置しますが、小さい居室を無理やり外壁側に配置しようとすると、廊下が余計に必要になったり、面積に余裕がない場合だと廊下を通せなかったりするからです。

エスキスでミスや手戻りを減らすコツ2つ

  • 安全側で想定する
  • 要所要所でミニチェックを行う

安全側で想定する

 いくつかの選択肢がある場合、安全な方の選択肢を選びましょう。

 例えば、次のようなシチュエーションが考えられます。

シチュエーション

 道路斜線に当たらないために道路境界線から建物まで5mのヘリ空きが必要だとします。

 もし道路側にバルコニーが出るなら、当然バルコニーの先端から道路境界線まで5mのヘリ空きが必要となりますが、道路側にバルコニーを出すかどうか、今の時点で未定です。

 この時、道路境界線から建物外壁までどのくらいのヘリ空きを設けますか?

安全側で想定した場合の回答

 ヘリ空き5mから、さらにバルコニーの幅分下がった位置に建物外壁を設けます。

 つまり、道路境界線から建物外壁までのヘリ空きは7mとなります。(バルコニーの幅が2mの場合)

 上の例で安全側で想定せずに道路境界線から外壁までのヘリ空きを5mで設定していた場合、バルコニーをつけたときにヘリ空きの確保を忘れて道路斜線がアウトになる、、、というようなことが起きやすくなります。

要所要所でミニチェックを行う

 もちろん、エスキス終了後に見直しは必ず行うべきですが、それ以外にも、自分でタイミングやチェック事項を決めて、要所要所でミニチェックを行うことをお勧めします。

 エスキスが完成した後に気づいたら修正に時間がかかるようなミスを、先につぶしておきます。

 おすすめのチェックタイミングと内容は以下の通りです。

おすすめ①

【タイミング】基準階を検討した直後

【内容】

  • 居室の採光に必要なヘリ空きの確認
  • 道路斜線・隣地斜線・北側斜線
おすすめ②

【タイミング】本格的なエスキス(1/400)を始める前

【内容】

  • 建蔽率
  • 容積率
  • 道路・隣地・北側斜線制限
  • 居室の採光に必要なヘリ空き
  • 駐車場、駐輪場、屋外テラスなどの屋外施設
  • EVや階段の数
  • 吹き抜けや天井高が高い部屋、トップライト等の立体要素
  • 柱の上下階の整合(1階に柱が無い位置には、その上の階でも柱を置けない=岡建て柱は×)

エスキスを効率よく勧めるための心構え

  • 小さな気づきを重ねる
  • 優先順位が低いことは、必要に応じてあきらめる

小さな気づきを重ねる

 多くの問題をエスキスしたり、同じ問題を何度もエスキスしたりすることで、小さな発見を積み重ねましょう。

 「エスキスの時間を短縮するためのアイデア5つ」「 エスキスでミスや手戻りを減らすコツ2つ」の章で紹介したアイデアは、どれも筆者がエスキスを重ねる中で得た気づきです。

 何度もエスキスする中で、こういった小さな気づきが自分の中に蓄積されていき、だんだんエスキスが早くなっていきます。

優先順位が低いことは、必要に応じてあきらめる

 より優先順位が高いことを守るために、優先順位が低いことを犠牲にしなければならないようなタイミングが、製図試験では結構あります。

 優先順位が高いのは「法規」と、「問題文で要求されていること」です

 例えば、以下のような項目は、守れたら守った方が良いですが、問題文で要求されていないのであれば、必要に応じて切り捨てても問題ありません。

問題文で要求されていないなら妥協してもよいこと
  • 屋上庭園の日当たりが悪い
  • 廊下が曲がりくねっている
  • 床面積が適宜の室が狭すぎ
  • 柱のスパンが均等になっていない
  • 面積の大きい室や吹き抜けが細長い
  • トイレが狭い

 もちろん、上に挙げたような項目も、改善できるのであれば改善したほうが良いですが、「他に優先すべきことがあるでしょ」ということです。

まとめ

  • 課題文の重要なポイントをエスキス用紙に書き出すことや、要所要所でチェックを込め目に行うことが重要
  • たくさんエスキスして、小さな気づきを蓄積していくことで、エスキスが早くなります

コメント

タイトルとURLをコピーしました