
建築基準法の存在は知っているけど、中身はよく分からない

二級建築士試験で勉強しないといけないけど難しそう

とっつきにくいので、まずは簡単な概要を知りたい
建築関係の仕事をする上で、建築基準法は避けて通れません。しかし、建築基準法は最初はハードルが高く感じられ、建築士試験でも法規科目を苦手とする人は多いです。
この記事では、知識ゼロの人でも全体像をつかめるように建築基準法のポイントをわかりやすく解説します。建築士の試験勉強への活かし方も合わせて解説します。
読めば試験勉強や実務で建築基準法の理解が早まり、効率アップできるので、ぜひ参考にしてください。
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【最低の基準】建築基準法はどんな法律?法律の目的

建築基準法をひとことで言うと、
国民の生命・健康・財産を守るために、建築物と敷地に関する最低限のルールを定めた法律
です。
これは、法律の第1条で明記されています。
(目的)
第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産 の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
引用元:建築基準法
ここで大事なのは、「最低限の基準」というところです。
つまり、
- 生命・健康・財産を守るために必要なことだけが書かれている
- 快適性や耐久性など“より良くするための基準”はほとんど書かれていない
という特徴があります。
詳しく解説します。
建築基準法に書いてあること

一般にイメージされる建築基準法の主な規定は、以下の3つです。
- 防火・避難規定
→火事から生命・財産を守る - 構造関係規定
→地震や建物の倒壊から生命・財産を守る - 集団規定(接道・用途地域・建蔽率・容積率・高さ制限)
→近所や地域の生命・健康・財産を守る
ほかに、手続きに関する規定や、天井高さや階段寸法を定めた規定などがあります。
いずれも、守らなければ「もしもの時に命に関わる」内容ばかりです。
建築基準法に書いてないこと
建築基準法はあくまで“最低限の基準”なので、次のような快適性・性能向上に関する内容はほとんど扱いません。
| 建築基準法に書いていないこと | 書いてある法律 | 略称 |
| 断熱性能、省エネ性能 | 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律 | 建築物省エネ法 |
| 劣化対策、維持管理のしやすさ | 住宅の品質確保の促進等に関する法律 | 品確法 |
| 高齢者・障がい者への配慮 | 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 | バリアフリー法 |
ただし、これらの法律の一部は「建築基準関係規定」として扱われ、守らないと確認申請が通らない点に注意が必要です。
火事から生命・財産を守る→防火避難規定

火災時の安全を確保するため、建築基準法では次のようなアプローチを取っています。
- 避難・救助をしやすくする
- 建物内部で火が広がらないようにする
- 内装に燃えにくい材料を使う
- 隣の建物から火が燃え移らないようにする
これらのアプローチに対応する法令は、次のとおりです。
- 避難規定:法第35条、令第5章(116条の2〜128条の3)
- 耐火構造・防火区画(避難が終わるまで建物が崩れず、内部で火が広がらないようにする)
→法第21,26,27条,35条の3,36条、令第4条(107〜116条) - 内装制限
→法第35条の2、令第5章の2(128条の3の2〜128条の6) - 外部からの延焼防止(防火地域・準防火地域・法22条地域)
→法第22〜25,61〜65条、令第109条の9〜109条の10、令第7章の2(136条の2〜136条の2の3)
防火地域・準防火地域は正確には集団規定ですが、火災対策としてここで紹介しています。
地震や建物倒壊から生命・財産を守る→構造関係規定

構造関係規定の目的は、次の外力に対して建物が損傷・倒壊しないようにすることです。
- 固定荷重(建物自体の重さ)
- 積載荷重(人や家具の重さ)
- 雪の重さ
- 強風
- 地震
によって建物が損傷・倒壊しないようにするのが目的です。
構造関係規定には大きく2種類あります。
- 仕様規定
→部材の種類や寸法などを具体的に定めたルール。木造・鉄骨造など構造ごとに決められている。 - 構造計算
→柱や梁など部材にかかる力を計算し、建物が損傷・倒壊しないことを確認する。許容応力度計算や保有水平耐力計算、限界耐力計算、時刻歴応答解析といった種類がある。
構造関係規定についておおまかに説明すると以下のようになります。(正確には、もっと細かいルールがあります。)
- 小規模な建物
→仕様規定を満たせばOK(構造計算不要。ちなみに木造の壁量計算は仕様規定に含まれる) - 中規模な建物
→仕様規定+許容応力度計算(大地震が来ても柱や梁などの部材が損傷しないことを確認) - 大規模な建物
→許容応力度計算+保有水平耐力計算(超大地震が来た時に柱や梁などの部材が多少損傷したとしても、建物が倒壊しないことを確認)
- 構造耐力(構造全般)
→法第20条、令第3章第1節(36条〜36条の4) - 材料の品質
→法第37条 - 仕様規定
→令第3章第2節〜第7節の2(37条〜80条の3) - 構造計算方法(材料強度や許容応力度や荷重の設定も)
→令第3章第8節(81〜106条)
近所や地域の生命・健康・財産を守る→集団規定

集団規定(法第3章)は、都市計画区域・準都市計画区域内のみ適用されます。
田舎では区域外の場合もあり、その場合は適用されません。
目的は次のとおりです。
- 火災が近所に燃え広がるのを防ぐ
- 建物から避難できるようにする
- 緊急車両が通れるようにする
- 日照・通風・採光を確保する
- 交通の安全を確保する
- 地域ごとに建てられる用途を定め、住環境を守る
主な規定は次のとおりです。
- 接道義務・2項道路(道路中心から2mセットバック)など
→法第42~45条、令144条の4~145条 - 用途規制
→法第3章第3節(48~51条)、令第6章(130条~130条の9の8) - 高さ・面積(建蔽率、容積率)などの制限
→法第3章第4節(52~60条)、令第7章(130条の10~136条) - 防火地域・準防火地域
→法第3章第5節(61~66条)、令第7章の2(136条の2~136条の2の3)
健康問題や事故から守る→一般構造規定

目立たないものの、日常生活の安全・健康に関係する規定もあります。
- 採光
- 換気
- 有害物質対策
- 防湿対策
- 階段寸法
- 共同住宅の界壁(遮音)
- 地下階のルール
などなど
主な条文は
法第28〜31条、法第36条、令第2章(19〜35条)
などです。
その他の規定(設備、手続き、既存建築物・仮設建築物の緩和など)

ここまで紹介した以外にも、
- 確認申請などの手続き
- 用語の定義
などの規定があります。
→法第1章(第1条~第18条の3)、令第1章(第1条~第18条)
設備関係の規定もあります。
→法第32~34、36条、令第5章の4(第129条の2の3~129条の15)
最後に、法第6章の雑則には、これまでに紹介した分類では拾いきれなかった規定がまとめられています。
- 既存建築物・仮設建築物などの緩和規定
- 工作物・建築設備への準用
- 工事現場に関する規定
など
雑則(緩和・特例関係など)
→法第6章(第84条~97条の6)、令第7章の8~第10章(136条の2の20~第150条)
建築基準法と施行令と告示の親子関係

建築基準法は「大まかなルール」、施行令は「具体的なルール」、告示は「さらに細かい技術基準」という関係です。
- 法律に「政令で定める」→施行令
- 法律・施行令に「国土交通大臣が定める」→告示
- 「国土交通省令で定める」→施行規則
また、施行令のすべての条文には、建築基準法の中に、親となる条文があります。
親:建築基準法第35条(特殊建築物等の避難及び消火に関する技術的基準)
子:施行令122条(避難階段の設置基準)
親:建築基準法第36条(この章の規定を実施し、又は補足するため必要な技術的基準)
子:施行令第112条(防火区画)
そのため法令集を引くことに慣れるまでは、条文を探すときは、
- まず建築基準法で“親”の条文を探す
- 注釈を使って“子”の施行令へ飛ぶ
という順番が効率的です。(ほとんどの法令集では、建築基準法から施行令に飛びやすいように、注釈が振ってあるはずです。)
一級・二級建築士試験対策に生かす

建築基準法→施行令の順番で条文を探す
建築基準法と施行令は親子のような関係なので、施行令のすべての条文には、その親となる建築基準法の条文があります。
そのため、探し慣れていない条文を探すときは、建築基準法→施行令の順番で条文を探すと早く見つけられます。
詳細は前の章で解説しています。
建築基準法や施行令の構成を把握する
建築基準法と施行令の目次を眺めてみましょう。目次を眺めるだけでも、条文の位置関係がつかめます。
条文の位置関係が頭に入っていると、いちいち目次から調べなくて良いので、法令集を引くのが早くなります。
- 第1章 総則 : 用語の定義・手続きのルールなど
- 第2章 建築物の敷地、構造及び建築 設備 : 単体規定(防火避難規定、構造関係規定など)
- 第3章 都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途 : 集団規定(接道義務、用途地域、容積率・建ぺい率・高さ制限、防火地域など)
- 第6章 雑則 : 既存建築物や仮設建築物の緩和、用途変更、工作物・建築設備のルールなど
- 第7章 罰則
- 第1章 総則 : 用語の定義、面積・高さ等の算定、手続きのルールなど
- 第2章 一般構造 : 採光、換気、有害物質対策、階段寸法など
- 第3章 構造強度 : 構造ごとの仕様規定、構造計算方法、外力や材料強度等の決め方など
- 第4章 耐火構造、準耐火構造、防火構 造、防火区画等
- 第5章 避難施設等 : 2以上の直通階段、排煙設備、非常用照明、進入口、敷地内通路など
- 第5章の2 特殊建築物等の内装 : 内装制限
- 第5章の3 避難上の安全の検証 : 避難安全検証法
- 第5章の4 建築設備等: 配管、 昇降機、避雷設備など
- 第6章〜7章の4 : 集団規定関係(用途地域、高さ制限、防火地域など)
建築基準関係規定

建築基準法施行令第9条に、建築基準関係規定が定められています。建築基準法と同様に、建築基準関係規定にも適合させないと、確認申請が許可されません。
- 消防法の一部
- 宅地造成等規制法の一部
- 都市計画法の一部
など
他にも色々あるので気になる人は建築基準法施行令の原文を確認してください。
また、建築基準法施行令第9条には書いてありませんが、建築物省エネ法第10条第2項に、「同法第10条第1項(省エネ基準への適合義務)を建築基準関係規定とみなす」と書かれています。
さらにバリアフリー法第14条第4項にも、「同法第14条第1~3項(建築物移動等円滑化基準への適合義務)を建築基準関係規定とみなす」と書かれています。
- 建築物省エネ法:建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律
- バリアフリー法:高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律
まとめ

- 建築基準法は「国民の生命・健康・財産を守るための最低基準」を定めた法律
- 内容は大きく「防火避難」「構造」「集団規定」「一般構造」「その他(手続き・雑則など)」に分かれる
- 快適性や省エネ・バリアフリーなどは別の法律に定められ、それらの一部は確認申請で「建築基準関係規定」として扱われる
- 法 → 施行令 → 告示の“親子関係”を理解すると条文検索が圧倒的に楽になる
- 建築士試験では、条文の位置関係を把握し、法 → 令の順で探す習慣が得点力アップにつながる
建築士試験対策を始めたい人や、独学に限界を感じている人のために、以下のページで通信講座・予備校を比較しています。
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