【二級建築士試験】建築法規の暗記項目|そもそも暗記が必要?

建築法規
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二級建築士の法規で時間が足りなくなる!

法規を得点源にしたい!

法令集を試験に持ち込めるけど、暗記もしないとだめなの?

そんな悩みを解決します。

二級建築士試験の法規では、法令集を持ち込めます。
しかし法令集を引くのに時間がかかりすぎた結果、試験時間が足りなくなってしまう人も多いです。

この記事の筆者は一級建築士の資格を持っています。

建築士試験を受験した経験を踏まえて、二級建築士試験 法規の暗記項目について解説します。

結論として、全部法令集を引くよりも、部分的に暗記したほうが、少ない労力で高得点を狙いやすいです。
全部暗記するのではなく、優先順位をつけて暗記していくのが大事です。

この記事では・・・
  • 二級建築士試験の法規を時間内で解くために、暗記が必要な理由が分かります
  • 法規で暗記したほうが良い項目が分かります
  • 「完全暗記したい項目」と「部分的に暗記したい項目」に分けて解説します

二級建築士試験 建築法規で暗記が必要な理由

二級建築士試験の学科Ⅱ「法規」で暗記が必要なのは、「全ての選択肢で法令集を引いていたら時間が足りなくなるから」です。

順を追って解説します。

学科Ⅱ建築法規で1問にかけられる時間は5分

学科Ⅱ「法規」で1問にかけられる時間は、5分です。

  • 試験時間は学科Ⅰ「計画」と、学科Ⅱ「法規」で合わせて3時間=180分
  • 法規の1問に5分かけると、法規の問題を全問解くには125分かかる(5分×25問)
  • 残りの180-125=55分を、計画を解く時間+計画と法規の見直し時間に充てる

このように考えると、学科Ⅱ「法規」で1問にかけられる時間は、5分が限度です。

法規を1問あたり5分で解くためには暗記が必要

学科Ⅱ「法規」の問題を1問あたり5分で解くためには暗記が必要です。

法規の問題を速く解くには、次のどちらかに当てはまる問題が増えるように、練習する必要があります。

  • 法令集を引かなくても選択肢の〇×が分かる
  • 法令集のページ間を行き来しなくても選択肢の〇×が分かる
    (極端な例:法令集を1ぺージ読めば〇×が分かる)

適切な箇所を暗記をすることで、法令集を引かずに問題を解いたり、法令集のページ間の行き来を少なくしたりすることができます。

そうすることで、法規の問題を1問5分以内で解くことができるようになります。

ここから、学科Ⅱ「法規」で、暗記したほうが良い項目を解説していきます。

二級建築士 学科Ⅱ建築法規の暗記項目

学科Ⅱ「法規」で暗記したほうが良い項目を、次のような考え方で分類し、解説していきます。

  • 完全暗記したい項目
    →「法令集を引かなくても選択肢の〇×が分かる」を目指す
  • 部分的に暗記したい項目
    →「法令集のページ間を行き来しなくても選択肢の〇×が分かる」を目指す

暗記している箇所が多ければ多いほど、解くのは楽になりますが、全部暗記するのは無理があります。

この記事で紹介している「完全暗記したい項目」「部分的に暗記したい項目」は、比較的暗記しやすく、得点にもつながりやすいので、積極的に覚えていきましょう。

完全暗記したい項目

完全暗記したい項目を挙げていきます。
「法令集を引かなくても選択肢の〇×が分かる状態」を目指します。

完全暗記したい項目
  • 計算問題(高さ制限、容積率、建ぺい率)
  • 建築物の定義
  • 建築、大規模の修繕、大規模の模様替の定義
  • 確認申請が必要な建築物
  • 地域がまたがる場合の取り扱い
  • 構造強度関係

参考記事:建築法規の計算問題のポイントを解説

計算問題(高さ制限、容積率、建ぺい率)

高さ制限、容積率、建蔽率の問題といった計算問題は、覚える知識が少なく、一度覚えたら毎回同じような問題が出るため、一番最初に暗記するべき項目です。

テキスト等を参照しながら、過去問などで問題演習を繰り返すことで、比較的簡単に解き方を身に着けることができるはずです。

最終的には法令集を見なくても解けるレベルまで暗記するのがベストですが、1度は法令集を引いて該当条文をちゃんと読んで、条文に書いてある内容を理解しておくのがおすすめです。
試験中に解き方などをド忘れした場合でも法令集を使ったら解けるようにしておくためです。

参考記事:建築法規の計算問題のポイントを解説

建築物の定義

法第2条第一号の内容です。

「確認申請が必要な建築物」の問題などで知識が問われます。

暗記しておくべきポイントは次の通りです。

暗記しておくべきポイント
  • 建築物に付属する門・塀も、建築物に該当する
    →確認申請が必要となる場合がある
  • 観覧のための工作物、地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所等も、建築物に該当する
    →確認申請が必要となる場合がある
  • 鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットフォームの上屋、貯蔵槽などは建築物に該当しない
    →確認申請は不要

建築、大規模の修繕、大規模の模様替の定義

法第2条第十三号~十五号の内容です。

これも「確認申請が必要な建築物」の問題などで知識が問われます。

暗記しておくべきポイントは次の通りです。

暗記しておくべきポイント
  • 建築:新築、増築、改築、移転
  • 大規模の修繕、模様替:主要構造部の一種以上について行う過半の修繕、模様替
  • 主要構造部の定義は法第2条第五号を見る

確認申請が必要な建築物

確認申請が必要かどうか判断する際のポイントは次の通りです。

  • そもそも建築物に該当するか(前述の内容です。法第2条第一号)
  • 一号建築物~四号建築物のどれに当てはまるか(法第6条第1項、法別表第1)
    →用途(法別表1)、構造種別、面積、階数、高さ、軒の高さによって決まっています。
    用途(法別表1)と軒の高さは、大まかに暗記していれば、不安な時は法令集を見ても良いです。
  • 大規模の修繕・模様替:一~三号建築物は確認申請が必要。四号建築物は確認申請が不要(法第6条第1項)
  • 都市計画区域、準都市計画区域、景観法の準景観地区、都道府県知事が指定する区域かどうか(法第6条第1項)
    →一~三号建築物は区域外でも確認申請が必要だが、四号建築物は区域外なら確認申請不要(正確には、区域外の建築物は四号建築物に該当しない)
  • 防火地域外・準防火地域外の建築物について10㎡以内の増築・改築・移転をするときは確認申請不要(法第6条第2項)
    新築が含まれていないことに注意!
  • 工作物、建築設備も確認申請が必要な場合がある(法第87条の4、法第88条)

地域がまたがる場合の取り扱い

暗記しておくべきポイントは次の通りです。

暗記しておくべきポイント
  • 敷地が、建ぺい率の限度・容積率の限度が異なる地域にまたがる場合(法第52条第7項、法第53条第2項)
    →各地域の建蔽率の限度・容積率の限度を敷地面積で按分します。
  • 敷地が区域・地域(用途地域など)にまたがる場合(法第91条)
    →敷地の過半が属する地域・区域の制限を適用する
  • 敷地が、防火地域・準防火地域の内外にまたがる場合(法第65条)
    →(敷地ではなく)建築物がある地域の、より厳しい方の規定を建築物全体に適用する。(防火地域外、準防火地域外において防火壁で区画されている場合を除く)
  • 日影規制の対象区域外に建築物がある場合でも、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせる建築物(高さ10m超)には、日影規制が適用される(法第56条の2第4項)

構造強度関係

構造計算、構造強度については、学科Ⅲ「構造」の、文章題の中でも勉強し、そちらで暗記します。

まずは構造のテキストで暗記して、構造の文章題が解けるようになってから、学科Ⅱ「法規」の構造強度の問題を解くようにすると効率が良いです。

または、最初はこれらの問題は力を入れて勉強せず、学科Ⅲ「構造」の勉強が一通り終わってから勉強し始めても良いです。

部分的に暗記したい項目

部分的に暗記したい項目を挙げていきます。

「法令集のページ間を行き来しなくても選択肢の〇×が分かる状態」を目指します。

部分的に暗記したい項目
  • 確認申請が必要な工作物、建築設備
  • 特殊建築物等の内装
  • 防火地域又は準防火地域内の建築物

確認申請が必要な工作物、建築設備

工作物

  • 「令第138条だけ読めば確認申請が必要かどうか判断できる状態」にしておきましょう。
  • 法第88条第4項に注意
    →各法律による許可が必要な擁壁は、確認申請不要

建築設備

  • 「令第146条第1項だけ読めば確認申請が必要かどうか判断できる状態」にしておきましょう。

特殊建築物等の内装

「令第128条の4と令第128条の5だけを読めば選択肢の〇×が判断できる状態」にしておきましょう。

そのために、次の事項は暗記してしまいましょう。

暗記したい項目
  • 壁と天井に内装制限がかかる(床には制限が掛からない)
  • 令128条の4第1項一号の表に掲げられた建築物の居室は、壁と天井を難燃材料以上とする。(床からの高さが1.2m超の部分のみ)(ただし、3階以上の階の居室は準不燃材料以上)
  • 令128条の4の表に掲げられた建築物の居室から地上へ通ずる廊下・階段等は、壁と天井を準不燃材料以上とする
  • 上記以外で令128条の4に挙げられている居室や建築物は、壁や天井を準不燃材以上とする。(規模・階数が一定以上のもの、地階の居室、火気使用室、開口部が不足している居室、車庫・自動車修理工場など)
  • 耐火構造・準耐火構造の建築物や、スプリンクラー等と排煙設備を設けた建築物には緩和がある

ちなみに、地下街や避難階段、エレベーター昇降路等の内装制限は、それぞれ地下街に関する条項(令128条の3)、避難階段に関する条項(令123条)、エレベーターに関する条項(令5章の4第2節)でまとめられており、特殊建築物の内装制限の条項とは別の場所に書いてありますので、そちらは法令集を引きましょう。

防火地域又は準防火地域内の建築物

「令第136条の2と令第136条の2の2だけを読めば選択肢の〇×が判断できる状態」にしておきましょう。

そのために、次の事項(令ではなく法に書いてある事項)は暗記してしまうのがおすすめです。

暗記したい項目
  • 防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。(法第63条)
  • 防火地域内にある看板等で、建築物の屋上に設けるもの又は高さ3mを超えるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、又は覆わなければならない。(法第64条)
  • 建築物が防火地域・準防火地域の内外にわたる場合(法第65条)
    →(敷地ではなく)建築物がまたがっている地域の、より厳しい方の規定を、建築物全体に適用する。(防火地域外、準防火地域外において防火壁で区画されている場合を除く)

まとめ

  • 学科Ⅱ「法規」で1問にかけられる時間は、5分が限度
  • 1問あたり5分で解くためには暗記が必要

完全暗記して「法令集を引かなくても選択肢の〇×が分かる状態」を目指したい項目

  • 計算問題(高さ制限、容積率、建ぺい率)
  • 建築物の定義
  • 建築、大規模の修繕、大規模の模様替の定義
  • 確認申請が必要な建築物
  • 地域がまたがる場合の取り扱い
  • 構造強度関係

部分的に暗記して「法令集のページ間を行き来しなくても選択肢の〇×が分かる状態」を目指したい項目

  • 確認申請が必要な工作物、建築設備
  • 特殊建築物等の内装
  • 防火地域又は準防火地域内の建築物

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