もうすぐ模試があるから、計算問題のポイントをおさらいしたい
そんな悩みを解決します。
二級建築士試験の法規で、計算問題は出題パターンが少なく、得点源と言えます。
この記事の筆者は一級建築士の資格を持っています。
建築士試験を受験した経験を踏まえて、二級建築士試験 法規の計算問題について解説します。
この記事では・・・
- 二級建築士 法規における計算問題の重要性を解説します。
- 計算問題を解く上で注意すべきポイントを紹介します。
- 高さ制限(道路・隣地・北側)・容積率・建ぺい率の計算問題で注意すべきポイントについて解説します。
具体的な解き方はテキストや問題集で練習しながら覚えていってほしいので、この記事では解説していません。
この記事では計算問題を解く上で注意すべきポイントをまとめているので、試験や模試直前の備忘録として活用してください。
また、法規の勉強をするときに辞書的に活用してもらうのもおすすめです。
二級建築士試験の独学に不安がある人は、こちらの記事もご覧ください。
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法規の計算問題(高さ制限、容積率、建ぺい率など)は最重要|解き方を暗記しよう
高さ制限、容積率、建蔽率の問題といった計算問題は、覚える知識が少なく、一度覚えたら毎回同じような問題が出るため、一番最初に暗記するべき項目です。
テキスト等を参照しながら、過去問などで問題演習を繰り返すことで、比較的簡単に解き方を身に着けることができるはずです。
最終的には法令集を見なくても解けるレベルまで暗記するのがベストですが、1度は法令集を引いて該当条文をちゃんと読んで、条文に書いてある内容を理解しておくのがおすすめです。
試験中に解き方などをド忘れした場合でも法令集を使ったら解けるようにしておくためです。
参考記事:建築法規の暗記項目|そもそも暗記が必要?
「高さ制限」のポイント
「高さ制限」の問題では、「敷地内の、ある地点における、建築物の高さの限度を計算する」ような問題がよく出題されます。
例:A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は、次のうちどれか。(5択)
この時検討しないといけないのが、次の3つです。
検討が必要なもの
- 道路高さ制限(法第56条第1項第一号)
- 隣地高さ制限(法第56条第1項第二号)
- 北側高さ制限(法第56条第1項第三号)
道路高さ制限(法第56条第1項第一号)
道路高さ制限の注意すべきポイント
- 高さの定義(令第2条第1項第六号イ)
前面道路の路面の中心からの高さとする。
- 屋上部分の取り扱い(令第2条第1項第六号ロ)
階段室等の屋上部分の水平投影面積の合計が建築物の建築面積の1/8以内の場合は、その部分の高さは12mまでは当該建築物の高さに算入しない。
- 2項道路(法第42条第2項)
道路中心線から2mの線(または崖地、川等から4mの線)を道路境界線とみなす。
- 後退距離の緩和(法第56条第2項、令第130条の12)
前面道路から建築物までの最短距離の分だけ、反対側の道路境界線が外側にあるとみなせる。
道路に沿って塀がある場合の取り扱いなど、令第130条の12に規定されている。
- 2以上の前面道路がある場合の緩和(令第132条)
「広い方の前面道路の境界線からその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35m以内の区域」
または
「狭い方の前面道路の中心線からの水平距離が10mを超える区域」
については、すべての前面道路の幅員が、広い方の前面道路と同じ幅員を有するとみなす。
- 前面道路の反対側に公園等がある場合の緩和(法第56条第6項)
前面道路の反対側に公園等がある場合は、当該前面道路の反対側の境界線は、公園等の反対側の境界線にあるものとみなす。
- 道路面と敷地の地盤面に高低差がある場合(令第135条の2)
建築物の敷地の地盤面が前面道路より1m以上高い場合、その前面道路は「”敷地の地盤面”と”前面道路”との高低差から1mを減じたもの」の1/2だけ高い位置にあるとみなす。
- 適用距離(法別表第3)
道路境界線からの距離が、法別表第3に掲げる距離を超えている部分には、道路高さ制限は適用しなくてよい。
隣地高さ制限(法第56条第1項第二号)
隣地高さ制限の注意すべきポイント
- 高さの定義(令第2条第1項第六号)
地盤面からの高さとする。
- 屋上部分の取り扱い(令第2条第1項第六号ロ)
階段室等の屋上部分の水平投影面積の合計が建築物の建築面積の1/8以内の場合は、その部分の高さは12mまでは当該建築物の高さに算入しない。
- 地盤面の定義(令第2条第2項)
建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいう。
(高低差が3mを超える場合は、3mごとの平均)
- 絶対高さ制限(法第55条)
第一種低層住宅専用地域、第二種低層住宅専用地域、田園居住地域では高さの限度が決められているので隣地高さ制限が適用されない。
- 隣地高さ制限が適用される高さ(令第56条第1項第二号)
住居系の用途地域では高さ20m以内、工業・商業系の用途地域では高さ31m以内の建物は、隣地高さ制限が適用されない。
- 建築物が隣地境界線から後退しているほど、高さの限度は緩く(高く)なる。(法第56条第1項第二号)
北側高さ制限(法第56条第1項第三号)
北側高さ制限の注意すべきポイント
- 高さの定義(令第2条第1項第六号)
地盤面からの高さとする。
- 屋上部分の取り扱い(令第2条第1項第六号ロ)
北側高さ制限では、階段室等の屋上部分の水平投影面積の合計が建築物の建築面積の1/8以内の場合でも、建築物の高さに参入する。
- 北側高さ制限が適用される地域(法第56条第1項第三号)
第一種・二種低層住宅専用地域、第一種・二種中高層住居専用地域、田園居住地域内でのみ適用される。
- 建築物が隣地境界線から後退していても、緩和はない。
「容積率」「床面積」のポイント(法第52条)
「容積率」「床面積」の注意すべきポイント
- 延べ面積に算入しない部分①(令第2条第1項第四号、第3項)
車庫や備蓄倉庫、宅配ボックスなどは一部、延べ面積から除くことができる。
- 延べ面に算入しない部分②(法第52条第3項、第6項)
住宅及び老人ホーム等の地階(床面積合計の1/3まで)、エレベーターの昇降路、共同住宅と老人ホーム等の共用廊下と階段の面積は、延べ面積から除くことができる。
- 2項道路(法第42条第2項)
道路中心線から2mの線(または崖地、川等から4mの線)を道路境界線とみなす。
- 容積率の限度(法第52条第1項、第2項)
「都市計画で定められた容積率の限度」
と
「前面道路幅員×6/10」(用途地域が住居系の場合は「前面道路幅員×4/10」)」
の どちらか小さいほうが容積率の限度となる。
- 敷地が2以上の地域にわたる場合(法第52条第7項)
建てられる延べ面積の限度は、(地域Aに属する敷地面積×地域Aで定められた容積率の限度)+(地域Bに属する敷地面積×地域Bで定められた容積率の限度)となる。
- 特定道路による緩和(法第52条第9項)
敷地の近くに幅員15m以上の道路(=特定道路)があり、前面道路が特定道路に接続している場合、(12-Wr)×(70-L)÷70の値を、前面道路幅員に加算できる。
(Wr:前面道路幅員、L:特定道路から敷地までの延長)
「建ぺい率」「建築面積」のポイント(法第53条)
「建ぺい率」「建築面積」の注意すべきポイント
- 建築面積の算定方法(令第2条第1項第二号)
1m以上突き出た庇・はね出し等がある場合は、1m以上の部分を建築面積に算入する。
(例:1.5m突き出ていれば0.5m分を建築面積に算入する)
地階で地盤面条1m以下にある部分は建築面積に算入しない。
- 耐火建築物等への緩和(法第53条第3項第一号)
「防火地域内にある耐火建築物等」
または
「準防火地域内にある耐火建築物・準耐火建築物等」
は、建ぺい率の限度に+1/10することができる。
- 商業地域等での緩和(法第53条第6項)
建蔽率の限度が8/10の地域(=商業地域など)かつ防火地域内にある耐火建築物等には、建ぺい率の規定は適用されない。(10/10にできる。)
- 角地緩和(法第53条第3項第二号)
街区の角にある敷地として特定行政庁が指定した敷地では、建ぺい率の限度に+1/10することができる。
- 敷地が2以上の地域にわたる場合(法第53条第2項)
建てられる建築面積の限度は、(地域Aに属する敷地面積×地域Aで定められた建ぺい率の限度)+(地域Bに属する敷地面積×地域Bで定められた建ぺい率の限度)となる。
まとめ
- 高さ制限、容積率、建蔽率の問題といった計算問題は、覚える知識が少なく、一度覚えたら毎回同じような問題が出るため、一番最初に暗記するのがおすすめ。
- 過去問などで問題演習を繰り返すことで、比較的簡単に解き方を身に着けることができる。
- この記事では、高さ制限・容積率・建蔽率の計算問題を解く上でのポイントを紹介した。
(試験や模試直前の備忘録として活用したり、法規の勉強をするときに辞書的に活用したりしてください。)
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